オフィス建築リサーチ・大阪ステーションシティとその周辺(1/2)
ついこの間まで実家がある奈良から神戸まで電車通学していました。
往復4時間×5年弱という圧倒的通学時間のなかで、通過駅であるJR大阪駅再開発の様子をほぼ毎日観察してきました。
学部1年生の当時は何がどうなっていくのかわからない状態でしたが、駅として機能しながら徐々に建物が立ち上がり、駅ビルである大阪ステーションシティがオープンしていく様子を目撃しました。関西中の買い物客が殺到するなか、通学定期で途中下車したのを覚えています。
オフィス建築リサーチ宿題は大阪ステーションシティについて書きたいと思います。
まずは大阪駅再開発の経緯と周辺事情についてまとめます。
・大阪駅北地区再開発 概要
赤がJR大阪駅で青が大阪駅北地区です。
大阪駅北地区は、元は梅田の都心に広大な面積を有する貨物駅でしたが1999年に移転計画が持ち上がりました。
FIFAワールドカップのスタジアム建設構想など紆余曲折をへてオフィス・ホテル・商業施設の他に国内外の研究機関が入居する複合施設が建設されることになりました。現在は東側のグランフロント大阪のみ2013年4月にオープンしており、最終的な完成は2020~25年になる見通しです。気が遠くなりますね。
低迷を続ける関西建設界において「大阪最後の一等地」と呼ばれる大阪駅北地区は単なる商業施設以上の期待を集めています。
と、変化著しい梅北ですが、その交通面での拠点になるのが北地区に先行して2011年にオープンした大阪ステーションシティというわけです。
・基本情報
所在地 大阪府大阪市北区梅田三丁目
開業日 2011年5月4日
施設所有者 西日本旅客鉄道
施設管理者 西日本旅客鉄道
商業施設面積 134,000m2
延床面積 530,000m2
中核店舗 JR大阪三越伊勢丹 大丸 ルクア
商圏人口 約860万人(半径30km圏内)
冒頭の写真は南東から撮影したものです。
線路を挟むように南北にヴォリュームが建ち、ホーム全体に南に傾いた大屋根がかかっています。一般的な商業テナントの他に、客数低迷に悩む大手百貨店も量販店に負けじと独自性の高い店舗構成で勝負をしているようです。ま、私は行ったことないですが。
建築家の藤村龍至氏は、大阪ステーションシティを例に都市再開発の手法の変化を読み解いています。
http://www.mammo.tv/interview/archives/no306.html
コンテンツの充実を図ることで施設に人を呼び込む手法から、そもそも人が集まる場所を再開発するという方法に変化しているということです。このステーションシティというシステムをアジア圏に輸出することで人的交流を促すことができるとのことです。
とはいえ大阪駅は1日200万人以上が利用する世界でも指折りの巨大駅だそうなので、この規模で展開できる駅はそう無いとは思いますが、前回の記事のKIITOとはまるで正反対の規模と方法で都市と建築が関わろうとしているようです。
次は内部空間について紹介していきます。
(つづく)